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これまで感情や欲望をむき出しにした人間の姿を描いてきた劇作家・演出家、三浦大輔。彼が監督として手掛けた映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』、『愛の渦』でそれぞれ主役を演じた峯田和伸(銀杏BOYZ)、池松壮亮の二人を自分のホームである舞台に招いた作品が『母に欲す(ははにほっす)』だ。三浦は、そして初共演の二人はこの作品にどんな思いで挑むのか――。


――これまで男女の関係について描くことが多かった三浦さんが、家族を主題にした作品に取り組むのには何かきっかけがあったんでしょうか?

三浦:家族というか母親について描くことは自分にとって禁断のテーマというか、いつやろうかとずっと温めてはいたものの、勇気がなくてやっていなかったんです。僕自身の母親に対する思いも強くあって、それを作品にしようとはずっと思っていました。それがこのタイミングかなとも思いましたし、この作品で芝居に一区切りつけようと思っていて。

――え!?

三浦:だからこそ、ベストメンバーを集めたいという気持ちも強かったんです。すべてを出し尽くすつもりだから、その思いを託せる人に出てほしかった。やめるかやめないかははっきり言えないですが。

峯田:辞めないでくださいね。

三浦:(笑)。まだわかんないですけど。

峯田:辞めないでくださいね!

三浦:ただ、決して宣伝のつもりでこんなことを言っているのではなくて、この作品を終えたあとの予定が決まってないのは確かです。だから自分の中でも緊張感と、期待が高まっているんですよね。

――そう思われたのは、演劇でできることはやったと感じているからですか?

三浦:やり尽くした感もありますし、これまで舞台表現において方法論とか、いろんなことを試行錯誤しながらやってきたなかで、僕のやろうとしていることを叶えられるのはやっぱり役者さんの力に頼ることなんだと思ったんです。それがいちばん自分の描く“その先”に行ける。

なので今回は舞台としての表現について考えるよりも、オーソドックスなテーマで、役者とがっぷり四つでお芝居をつくるという本当に原始的なところに返ってつくろうと思っていて。

そしてこれからどうなっていくかわからないですけども現状、この二人を出したらもう僕の中でやりたい俳優がいない。いない以上、この先何ができるかわからない。だから、峯田くんにいま辞めないでって言われましたけど、辞めちゃうかもしれない(笑)。

――相当強い思いを託されたお二人にとっては、三浦さんはどんな存在ですか?

峯田:なんか、「わからないものはわからないままで、それでいいのだ」ってことを見せてくれる人。あとは、流行がどうとか世の中的にこうなっているからとか関係なく、ちゃんと隅々まで細かく、東海道五十三次を描ける人。

三浦:アハハハ!

峯田:すっごく細かい絵。抽象が流行ってもそれに乗らず、「私はこれしかできないんです」っていう。わかんないですけど、僕はそう感じてる。北斎みたいな、外国の人には描けないものを描ける人なのかなって思うんですよね。それは僕が日本人だからなのか、ひっかかるんですよね。

話ももちろん面白いし、演出も細かいと思うんですけど、ひっかかるんですよね。普通だったら線5本で済むところを、500本描く人だから。そこにちゃんと向かい合わないといけない。逃げられない。そこが魅力です。

池松:僕が思うのは、峯田さんも怪物だけど、三浦さんもやっぱり怪物です。一観客として言えば、何より信じられる世界を見せてもらえる人。役者として言うのであれば、本当に自分に厳しい人ですね。だから信頼できるし、全部託せる。

いま三浦さんが「これで最後かも」って決意を話されましたけど、聞かなくても三浦さんをみていればなんとなくわかったし。だとしたら僕も一線ひこうと思ってるので。

――そんな!

三浦:(笑)。

池松:とにかく三浦さんの世界、本当にやりたかったことを、ちゃんと提供できるのは自分なんだと信じてやるしかないです。

――実際には一線は引かないですよね?

池松:引きます。華々しく去りますってもう宣言しちゃう。

峯田:困りますよそういうの! だったら僕も、そもそも音楽の人っていうのもあるし、これで自分が悪評たてられてもいいし、別に最後でもかまわない。

三浦:僕もそれでいいんです。先がないと思ってやってますから。

池松:フフフ(笑)。

三浦:みんな、がけっぷちの気持ちで集まってるってことです。

――覚悟は伝わってきました。

三浦:これが本当、リップサービスではないんですよね。今からすでに胃が痛いですもん。でもまあ、作品がどうこうはやってみないとわからないですけども、自分の年齢を考えてみても、それくらいの覚悟で演劇をやらないともうしょうがないかなっていう思いもあります。

もちろんこれまでが気を抜いていたわけではないですが、今回はやっぱり相当究極な状態になっているかな。

Text:釣木文恵
Photo:源賀津己

公演情報

舞台『母に欲す』

公演日程
2014年7月10日 (木) ~7月29日 (火)
作・演出:三浦大輔
音楽:大友良英
出演:峯田和伸(銀杏BOYZ)/池松壮亮
土村芳/米村亮太朗/古澤裕介
片岡礼子/田口トモロヲ