メニューを開く

up!!!

Google Playで「uP!!!」アプリをダウンロード

※iOS10.0以降およびAndroid5.0以降対象

 10月7日にリリースされた3rdアルバム『Bremen』がオリコン・iTunes・ビルボード・ジャパンのウィークリーチャートで1位を獲得。2012年の1stアルバムから、いやそれ以前にボカロプロデューサー・ハチ名義で音源を発表していた頃から熱く濃い支持を集め続けてきたアーティストだが、それがいよいよ本当にブレイクする瞬間を迎えたのがまさに今だと言える。年明けからは12ヵ所14公演の全国ツアーも控えている。そもそもデビュー時はライブ活動を一切行っていなかった人であって、今年2015年の夏に各地の夏フェスに出演したり、そのようにZepp規模でツアーを回ったりするということ自体、他のアーティストにとっては普通だが米津玄師にとっては異常な事態とも言える。そんな現在に辿り着くまでどのような経験や思考を経てきたのか、ふり返って話してもらった。前後編でお届けします。

——中学の時にバンドをやったんだけど、ライブが楽しくなくて、それ以来ライブというものから遠ざかってしまった、という話を、以前インタビューでされていましたよね。

米津:はい。自分の音楽が作りたくてバンドを組んで……別に音楽好きじゃない友達とかも呼んで、「とりあえずバンドやろう」って組んで目標を文化祭にしたんですよね。で、文化祭に出て……バンドをやっていきたかったから、そのままずっと続けていって、高校生になってからも何回かライブやったんです。その時に、何をどうしていいかわかんない感覚がすごくあって。スタジオで音を出しても、自分の声がまったくきこえなかったりとか、全然楽しくなくて。楽しもう楽しもうとはしてるんですけど、「ほんとにこれ、楽しいのかな」って思ってて……どうしたらいいのかわからない、っていうのがあって。
 うまくできないっていうのが、すごく自分の中でコンプレックスだったというか。やっぱり、やるからにはうまくやりたいじゃないですか。それがまったくできていない、歌も自分が思い描いてるようにいってないな、っていう感覚がずっとあって。楽しもう楽しもうとしてるんだけど根本的に楽しくないもの、でも「俺はバンドをやりたいんだ」っていうのがあるから、楽しもうと無理矢理思い込む、っていう感じで、ずっとやっていましたね。

米津玄師1

——その後、バンドじゃなくても音楽はできるし、ライブをやらなくても人からリアクションが返ってくる方法を知るわけじゃないですか。ニコニコ動画、ボーカロイドという。

米津:はい。最初は……俺の憧れはバンドだったわけですよ。バンドをやらなきゃいけないって思いはずっと残ってて、でもそうやってひとりで完結させられる環境があるっていうことを知って……本当はバンドをやりたいんだけれども、サブとしてとりあえずこっちをやっとくか、っていう軽いノリで始まったんです。そしたらそれがどんどん大きくなっていって、そればっかりになっていって。それが楽しすぎて……ボカロやってる時も、「バンドやらなきゃな」っていう気持ちはずっとあったんですけど、ボカロ楽しいし、こっちの方がむいてるんじゃないかなと思ったりして。
 音源にするっていう行為がすごく楽しかったんですね。ライブってなると──あたりまえですけど──やり直し効かないじゃないですか。ライブだと、勢いでやんなきゃいけない部分もあったりするけど、音源は緻密に作りこむことが可能だし、歌に関しても、何回も何回も録って、いいテイクを採用することが可能なわけで。昔から絵を描くのとか好きだったし、そうやって細かく緻密に積み上げていくことに対して、すごくなじみがあって。実際、楽しかったし。

米津玄師2

——そこで「俺はこれだ! バンドもういいや」ってなってもいい気もするんですけども。

米津:いや、バンドはずっとやりたかったんですよ。自分の原体験がバンドだったから。バンドを組んで、4~5人で何かを表現するっていうことに対しての憧れはずっと持ち続けていて。でもそこに至れない自分がいて。そこらへんはうまいこと割り切れないまま、ずっとやってたなあと思います。

——じゃあどんどん自分の音楽が聴かれるようになり、認められるようになっていくのに、「うーん、でもちょっと……」みたいな思いがずっとあった?

米津:そうですね、それはずっと思ってて。だからボカロやってる頃も、何度かバンドを組もうとしたんですけど、あんまりうまくいかなくて、自然消滅みたいになって。プロデュース能力っていうか、自分に対して「こうしたほうがいい」っていうのはできるんですけど、それをメンバーに伝える方法がよくわかんなかったんですね。自分で考えてることは言語化する必要がないけど、人に何か伝えるってなった時に、どう言葉にして伝えたらいいのかわかんなかった。
 そもそも共同作業っていうか、バンドって複数人で何かを作る存在じゃないですか。そうなった時に……人と一緒にいるっていうことに対して、そもそもそんなに楽しいと思えないっていうか(笑)。やっぱひとりでいるほうがラクだし、人と足並み揃えて、みたいなことが、すごくヘタクソだったんだろうなと思いますね。

米津玄師3

  • 1
  • 2
メニュー閉じる