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TAKUMA(10-FEET)×牧達弥(go!go!vanillas)

今回で第19弾となる「uP!!!SPECIAL LIVE HOLIC supported by SPACE SHOWER TV」。11月11日、金沢で激突するのは結成20年を超え、つねに日本のロック・シーンの第一線を陣取り、心揺さぶりまたときにユーモラスな熱い歌を響かせる京都の3人10-FEETと、プリミティヴなロックンロールの衝動をポップに攻撃的に昇華する平成生まれの若武者go!go!vanillasの2組。お互いフェスやイベントでは共演しているが、ツーマンはもちろんこのLIVE HOLICが初。ともに歌心を持ち合わせたバンドだが、そのアウトプットにはそれぞれに強いこだわりやオリジナリティを持つ両者だけに、新たな化学反応が生まれそうな予感がする。初のガチンコ勝負の前に、お互いを知るべくそれぞれフロントマンに手合わせを願った。

「リフとか音に関しては、メタルでずいぶん養われていたから、自分らで曲を作るのが楽しかったですね。」(TAKUMA)

──同じフェス等にはたくさん出演していますが、ツーマンは初ですね。TAKUMAさんはgo!go!vanillasにどんな印象を持っていますか。

TAKUMA:いそうでいいひん、ありそうでない、みたいなところにいる不思議なバンドですね。特徴を出すために、音楽も見た目も含めてトゥーマッチなことや無理やりなことをするとかじゃなくて、音楽がすごい好きなんやろなとか、音楽すごいたくさん知ってるんやろなとか思わせるし。でも、音楽好きで、音楽をたくさん知っていると思わせるバンドって結構、印象が薄くなってしまうバンドが多いんですけど。全然印象が薄くないのが、すごいなと思って。僕の中ではそれがすごい衝撃的やったんですよね。

牧達弥(以下、牧):ありがとうございます。

牧達弥(go!go!vanillas)

──では、牧さんにとっての10-FEETとは。

牧:僕は、中学校の時に僕の友達の兄ちゃんがバンドをやっていて。バンドとの出会いがHi-STANDARDだったんですけど、そこからスケートパンクや米西海岸のメロコアを聴き出して。NOFXとかランシドとか、ちょっとハードコア寄りのパンクを聴いていたんです。当時は、地元大分のタワーレコードでそういう海外のアーティストと一緒に日本のアーティストとして店頭で紹介されていたのが、10-FEETだったんです。その時はいろんな音楽を知りたい時期で、音楽的に尖ったことをやっている人たちを聴こうというので手にとったのが、10-FEETでしたね。そこから、フェスとかでご一緒させてもらった時は、ステージを観て刺激をもらってましたね。ライブがやっぱりすごくいいバンドなので、吸収させてもらっています。

──貪欲に音楽を吸収している10代だったんですね。

牧:そうですね。パソコンも持ってなかったし、中学時代は携帯も持たせてもらえなかったので。全部、地元のタワーレコードの情報を鵜呑みにするっていう感じでしたね(笑)。今はこれがすげえんだ、とか。あとはよくCDの帯に、「和製何々」とか、「何々と何々が出会った」みたいなことが書いてあるじゃないですか。その“何々”が好きなバンドだったら、聴いてみようという感じで、純粋でしたね。

──でもそうやっていろんなものを貪欲に聴いていたものが、今のバニラズの原型になっているのでは。

牧:そうですね。メロコアやパンクをずっと聴いてきたんですけど、そうなるとどんどん初期に戻っていって、ラモーンズだったりダムドだったりに辿り着いたり。僕はとくにUKパンクにメッセージ性とかエモーショナルなものを感じて、イギリスの音楽を聴くようになって。ビートルズとかブリティッシュ・インヴェイジョンの時代のアーティストを聴くようになって、自分でもバンドをやってみようとか、こういう音楽がやってみたいっていう感覚になったので。バニラズのマインドの部分では、ロックンロールがあるんですけど、それだけじゃなくて、今まで生きてきた中でいいなと思った音楽を入れ込みながら、僕らの音楽をやってきた感じですね。

──TAKUMAさんは、10代の頃どんなふうに音楽の情報収集をしていた感じですか。

TAKUMA:10代の頃は、メタルにハマっていたんですけど、町内の友達の情報くらいですかね。友達が聴いてるから、聴いているとか。当時は、友達のうちでメタルしか聴いたらあかんみたいなのがあって。

──掟があるんですね(笑)。

TAKUMA:ユーロビートのCD踏んでみろ、みたいなね。(笑)

牧:踏み絵みたいな(笑)。

──今のような情報源はないですよね、人に教えてもらうか、足で探すかっていう感じで。

TAKUMA:あとはパチンコ屋の景品で置いてあるCDが、わりと新しいやつやって(笑)。

牧:洋楽とかもあるんですか。

TAKUMA:洋楽も置いてある。10代の頃は、まだそんなにCD屋がたくさん出てくる前やったんちゃうかな。そのあとしばらくして、タワーレコード、TSUTAYA、ヴァージン・メガストアーズとかが出てきたり、中古屋がいっぱい出てきてっていう、そのちょっと前の感じやから、あまりCDに辿りつけへんかったから。パチンコ屋のケースを見てましたね(笑)。

──メタルから、今の10-FEETに繋がるものとしては、どんな変遷があるんですか。

TAKUMA:10-FEETをはじめる前は、メタルバンドばっかりやっていて。メタル以外は消滅してしまえっていうので、メタルばかり聴いていたんですけど。クリーン・トーンとかアコースティックは死ねくらいの(笑)。でもグリーンデイとかニルヴァーナとかが、そのへんをちょっとずつ崩していってくれましたね。よう考えたら、俺らが大好きなハードロックもメタルも、いちばん売れてる曲はバラードやったりするなとか。それで広がっていったんですよね。ニルヴァーナとグリーンデイがいちばんびっくりしたかな。いいかもって思って。

──自分の作る音楽にも変化があった感じですかね。

TAKUMA:そこからですね。メロディがある音楽が好き、楽しいなってなっていって。リフとか音に関しては、メタルでずいぶん養われていたから、自分らで曲を作るのが楽しかったですね。

次のページ ≫「パーツはいっぱい入ってるけど、例えば6構成あったとしても4構成くらいに感じさせてくれるし。料理がうまそう。」(TAKUMA)

「パーツはいっぱい入ってるけど、例えば6構成あったとしても4構成くらいに感じさせてくれるし。料理がうまそう。」(TAKUMA)

──それぞれ曲の面白さというのが出たので、そのあたりの話も伺っていこうと思いますが、バニラズは普段どんなふうに曲作りをしていますか。

牧:今は、自分の家でだいたい曲をパソコンで作ってしまうんです。ある程度固まったらメンバーを呼んで、家で弾いてもらったりして作るようにしてますね。

──意外とセッションではないんですね。

牧:ずっとそうだったんですけど、全然言うこと聞いてくれないので(笑)。ドラム(ジェットセイヤ)はとくに、「これで叩いて」って口頭でフレーズとかを伝えようとするじゃないですか。それを言ってる途中から、叩き出すんですよ。ちょっと、待って待って、一回話聞いて?っていう感じなんで。無駄じゃねえ? この時間ってなって。僕が作ったデモを聴いてもらって、セイヤがここはこうしたいとか、このフィルはこうしたいとか、逆にここに何か入れてよとか、話すようにしてますね。それでレコーディングする前にスタジオに入ってまとめる、という感じが多いです。

──10-FEETの場合はどうですか。

TAKUMA:たまーにセッションで作ることもありますけど、基本的には鼻歌をストックして、それをもとにAメロ、Bメロ、サビとか作っていって。それをスタジオに持っていって、3人でああだこうだとやっていくというパターンが多いですね。

──メロディが軸としてあるんですね。

TAKUMA:それが多いですね。メロディとコード進行がある程度セットで出てきてしまうことが多いので。そのある程度コード進行がある方が、僕が例えば♪テレレテーテーテ、テーテテ〜って歌ったとして、相手がルートを何を鳴らすかでメジャーに聴こえたり、マイナーに聴こえたりもするし、度数も変わるから。「そのコードやったんか」、「俺こうやと思ってた」みたいな事故があまり起こらへんので。だから、メンバーが家にギター弾きにきてくれるのとか、めっちゃええなと思う。

牧:(笑)。10-FEETって、ライブ中に曲の間で長くMCとかをしたりするじゃないですか。そういうのって、曲作りにも影響するんですか。ここで、こう喋りたいからこういう構成にしようとか。

TAKUMA:そういうのは全然ないかな。あとから考える感じで。

牧:そこがわからないんですよね、僕は。ライブならではの何か、みたいなものがあるじゃないですか。曲のどこでそういうのを取ればいいんだろうとか、なかなかタイミングがないんですよね。僕の曲は、曲の構成自体がすごく多いんです。AメロBメロ、サビ……Dメロとかまでいっちゃうので。ライブならではのものを、どうやってやればいいんだろうなって、今だに考えてるんですよね。

TAKUMA:でもそのCメロ、Dメロがめっちゃかっこいいよなぁ、バニラズは──知ってる? go!go!vanillasっていうバンド。

牧:勉強しておきます(笑)。

──牧さんの場合は、どんどん展開する曲が好きな感じですか。

牧:最近はまとまってきたんですけど、昔は他のバンドに音楽で絶対に負けたくないっていうのがあったというか。ある意味でその当時は青臭い感じでした。本当なら凝縮させた構成で名曲を作るのが王道なスタイルだと思うんですけど。僕は、いろんなものを知ってるぜっていうか、あれもしたいしこれもしたいっていうので、どんどん曲を作っちゃうと自ずと構成とメロディが増えちゃって。そういう曲が多かったんです。

TAKUMA:でもさ、要素をいっぱい入れたらほんまに詰め込みすぎた感が出てしまうから難しいんやけど、そういうのがないよね、このバンドは。そこがいちばんすごいと思う。パーツはいっぱい入ってるけど、例えば6構成あったとしても4構成くらいに感じさせてくれるし。料理がうまそう。

牧:わりと、味が濃いめですけどね(笑)。

TAKUMA:ここでウェイパーほしいけど、そこまでウェイパー入れちゃうとマズいねんな、までいかへん。いいところの濃い味なのがすごいし。あと、めっちゃ気持ちよかったのに急に、そのコード進行の中にある1コードでパーンと止まって……あるところでまたパーンと戻る気持ち良さとか。このバンドめっちゃうまい!

牧:そこをわかってくれるのは嬉しいです。結局、乱暴につなぎ合わせるのは誰でもできるわけで、そこに一貫性があるかどうかというか。この曲で表現したいものをまとめあげるためには、その曲の流れだったり、歌詞もそうですけど、すごく考えるんです。なので、ありがとうございます。

TAKUMA:かっこいいなと思う。

次のページ ≫「ライブを前にお店の隠し味を全部解体されていく感じで……めちゃくちゃ気合い入りました!」(牧)

「ライブを前にお店の隠し味を全部解体されていく感じで……めちゃくちゃ気合い入りました!」(牧)

──逆にいうと、10-FEETはどんどんシンプルになっていっている気がしますね。ひとつのことをちゃんと伝えようとするバンドになっているというか。

TAKUMA:それはそうかもな。でも、自分がマイクを持って歌っていて、ある日突然ギターが辞めて。ギター弾けへんけど、俺が弾かなあかんようになったというバンドのストーリーがあったので。もともと、ギターそのものもそうだし、コード進行っていうシステム自体知らんかったし、コードにはメジャーとマイナーがあることも、10曲くらい作ってから友達に突っ込まれて、ムッチャびっくりして。「ほんまや。嬉しいのと悲しいのがある!」みたいな。そういうのがあまりよくわからんまま、ややこしい曲を作ろうと思って頑張っていたんですよね。要はシンプルな曲も作ったことがないまま、自分で知ってるパーツをいっぱい引っ付けて作るところに、長いこといってしまって。今やっと、最低限のものでできることって、こんなにあるんやって噛み締めているというか。

──そうだったんですね。

TAKUMA:非常に遅いんですけどね。そんななかで、いろいろ具材を放り込むんやったら、それがやっぱり美味しくならんと意味ないし。さっきも、バニラズの曲のことで言っていたけど、入り組んでいるけど、それがなんでシンプルに気持ち良く聴こえるかと言ったら、細かいこだわりが絶対にあると思う。昔はやたらめったら、やってた気がするな。「パクチーもってこい、ナンプラーもってこい」っていう。

牧:刺激が多い(笑)。

TAKUMA:ちょっと入れすぎたら、もう後戻りできないようなね。

──バニラズは先ほどライブのあり方みたいな話が出ましたが、ライブについては試行錯誤している部分もあるんですか。

牧:むしろちょっと前の方が、その感はありましたね。ツアーでワンマンで長く回ることが増えてくるじゃないですか。そうなったときに、当たり前に自信がついて、あとは無理をするのはやっぱり良くないというのもわかって。自分の性格だったりもそうだし、佇まいとかも、自分らしくいることをそのままお客さんにぶつけた方がいいなと。go!go!vanillasは、4人とも個性が強いので。それこそ今までは、僕が歌って、3人が演奏するっていうことが多かったんですけど、そこもニュートラルになってきて。プリティ(長谷川プリティ敬祐)の曲で4人が歌う曲もあったりするし、アルバムの中で(柳沢)進太郎の曲が入ってきたりもするようになって。いろんなバンドでの可能性を引き上げようとしてますね。その中から、自分自身の可能性を見つけていこうっていうか。今はそういう感覚なので。4人でおりゃー!っていう感じが強くて。それがいちばん楽しいし、いい流れができている気がしています。

──10-FEETはツーマンのライブも多いと思いますが、ワンマンとツーマンとでは面白さの違いはありますか。

TAKUMA:ツーマンでは、相手の良さとか相手が作った流れに乗るのも好きやし、衝突するように、そっちがそうくるんやったらこっちはこんな感じでやってみようって違うことするのも好きやけど。今回は、めっちゃ楽しみですね。ライブをまだじっくりと見れてないから、こうやって、ライブハウスで近くで見れるのはすごく楽しみやなと思ってますね。さっきも言ったんやけど、ほんまこういうバンドは、最近あんま見いひんかな。バニラズにはそれがいちばん言いたくて。

──当日、ますます楽しみです。

TAKUMA:例えばラーメンでも、家系でうちならではの味やりますとか、めっちゃ激辛の唐辛子がベーシックでうちオリジナルの味作りますとか、いやうちは豚骨でとか、魚介系だけどうちにしかない味、とか言われてもやっぱり、ジャンル自体は存在するじゃないですか。オリジナルよりもまず、ベーシックにある旨味やキャラクターに負けてしまうというか。そういうふうに、バンドもキャラクターやセールスポイントを出そうとしたら、もっとわかりやすくできたり、方法はたくさんあると思うんですけど。でも、そういう感じでもないし。かと言って、楽しいことをやっていたいだけなんすよっていう感じもせえへんし。しんどいしめんどくさかったりするけど、自分たちが好きな音楽、やってみたいことでどこまでいけるかやってみようぜ、みたいな感じがあるというか。うまく言えないけど、キャッチーでポップやのに、全然客商売の味がせえへんし。

牧:はははは(笑)。

TAKUMA:使い方まちがったらおっさんくさくなってしまうようなペンタトニックも、絶対そうさせないし。細かいところもいちいちようできていて。今のオブリガート、曲作ってきたやつが考えたんかな、ギターのやつが考えたんかなとか、めっちゃ考えるのが楽しいんですよね。UK初期パンクとか、ラモーンズとか、3コードのパンクだけじゃなくて、ロックの基礎みたいなところもすごい好きで。誰々がどういうツボをつくのがうまくてとかを、すごく楽しんで愛して音楽を聴いてきたから、プレイヤーである自分たちもそういうプレイをしたり、聴き手に考えさせたりできんやろなって。それがすごい楽しくてやってるんやろなっていうね。

牧:ライブを前にお店の隠し味を全部解体されていく感じで、店じまい感があるんですけど(笑)。すごく嬉しいですね。ツーマンで長い時間やらせてもらえるので、めちゃくちゃ気合いが入りました!

Text:吉羽さおり
Photo:高田梓

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