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TAKUMA(10-FEET)×牧達弥(go!go!vanillas)

日本最大の音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」と、KDDIとぴあが提供するエンタテインメント・サービス「uP!!!」が主催するライブイベント「uP!!!SPECIAL LIVE HOLIC」。 本イベントは後輩バンド VS 先輩バンドによる2マンライヴが恒例となっており、その第19回目は、初の金沢公演にて10-FEETとgo!go!vanillasが火花を散らした。

go!go!vanillas

軽快なケルト音楽に乗って登場した、先鋒のgo!go!vanillas。その牧歌的なSEをシームレスに持続するように高速トラッドパンク“マジック”でライブをスタートすると、バンド、金沢Eight Hallのオーディエンス双方がつんのめるようにしてお互いに距離を詰める。カントリー、ケルト、フォークなどを即効性の高いビート感に増強して転がっていくgo!go!vanillasスタイルのど真ん中をそのまま叩き込んだような“ヒンキーディンキーパーティークルー”に雪崩れ込んで一気に着火し、“エマ”では3声による♪オ、オ、オーオーで牧 達弥(Vo./G.)のスウィートなメロディを押し出して加速させていく。牧、長谷川プリティ敬祐(Ba.)、柳沢進太郎(G.)が目まぐるしく入れ替わりながら前へ出て一体感を求めるパフォーマンスを見ていても、トラディショナルな音楽を効きの早いビート感とシンガロング性の高い歌にビルドアップしていく音楽のスタイルにしても、一見go!go!vanillasのライブではひたすら「楽しさ」が追求されているようにも思える。だが、たとえば“チェンジユアワールド”のように、4人それぞれの歌心が絡み合ってグルーヴになっていく楽曲こそ、ストロングスタイルのロックバンドとして突き抜けようとするストイックさと鍛錬と真摯さを証明していると感じるアクトだ。冷静と情熱。やんちゃなパフォーマンスと、それを支える確かなスキル。くるくるとカメレオンのように表情を変えていくバンドの姿が楽しい。

牧「大好きな10-FEET先輩と、初めての2マンライブです! 思えば、僕の友達のお兄ちゃんが俺の友達にハイスタ(Hi-STANDARD)の音楽を貸して、それを僕らにも回してくれて。そこでパンクとロックを初めて体験しました。そこからアメリカの音楽に興味を持って、SUM 41だったり、MxPxだったり、遡っていったときにRAMONESに出会ったりしながら、The Beatlesに出会って。すべてパンクやメロコアに出会ったのがきっかけでした。たとえ音楽性は違っても、僕らと10-FEETが通じているのは、音楽が好きでライブが好きだっていうところだと思います。だから最高の夜にしたいと思うんです」 というMCもあったように、単なる「先輩との勝負」という意味だけではなく、己の音楽の原風景と邂逅するステージでもあったのだろう。“おはようカルチャー”、“SUMMER BREEZE”、“カウンターアクション”と曲を重ねるごとに、つんのめる寸前を維持しながら駆け抜けるスピード感とスリリングさがグングン増していく(ドラムのシンバルが吹き飛んでしまう一幕も)。

<踊れ 平成ペイン/あなたと行くのさ この道の行く末を/照らせ 平成ペイン>(“平成ペイン”)と歌う通り、平成世代(=go!go!vanillasの世代)の鬱屈を受け止めてその先へと突き抜けるための闘争心がこのバンドを突き動かしている。どの世代にもぽっかりと存在してきた退屈を蹴散らしていくための音楽としてロックに恋い焦がれ、その根源を掘り起こし、ハッピーな瞬間への執念をメロディにする。そんな、go!go!vanillasの核心が生々しく伝わるアクトだった。ライヴ終盤に牧が言い放った「負けらんねえ」という言葉。それを10-FEETがどう受けて立つのか——vanillasが去った後も、そんな期待と興奮がライヴハウス全体に充満している。このゾクッとする空気こそ、2マンライヴの醍醐味だ。

10-FEET

そして、続いてステージに立った10-FEET。
「元気かい、元気かい。俺ら勝手に行くから。モタモタしてるヤツは置いていくから。それぞれの楽しみ方があると思うけど、ちょっとしたことくらいで怒んなよ。みんなありがとう、責任持ってめちゃくちゃにします」——。
柔らかい口調で、しかしどこか鋭い目つきで挨拶したTAKUMA(Vo./G.)。そこから披露されたオープニングナンバーは“JUNGLES”だ。
「vanillasから受け取ったバトンを熱々のまま…、行こうぜ!」
ステージとフロア双方のウォー、オー!の怒号がクロスして、すし詰めのオーディエンスと10-FEET間の垣根が一瞬にしてぶっ壊される。先のTAKUMAの言葉通り、目まぐるしい展開で突っ走ってオーディエンスを一気に引きずり上げる“focus”、“SHOES”と畳み掛け、ノンストップで“1 size FITS ALL”までを一気に駆け抜ける、あまりに強烈な「先制パンチ」だ。
「おい金沢、地元のヤツどれくらいおんねん! 金沢を見せてくれよ! お前らの日常は知らん。俺らの日常も知らんやろ? 俺らは後腐れない関係やし、熱い中でベタベタもせず、でも今日はとにかくやりたいんや!」という叫びのようなMCから放たれた“goes on”では、サークルもモッシュもジャンプも拳もグチャグチャに入り混じって、その場にいる全員がひと塊で泣き笑いを浮かべているような光景に。曲ごとに音も歌も鋭くなっていくが、それに伴って一人ひとりの感情解放量もステージに向かって一直線になっていく。ひたすらストイックに畳み掛けていくライブだが、双方の交感によって、熱の塊がグングン巨大化していくところが目に見える。さらに“RIVER”、“蜃気楼”と続け、新旧を織り交ぜながら真摯な言葉を投げかけ続けるまさに真骨頂のライブだ。

「お前の魂がイライラに負けんように願ってるわ。思いやりひとつやで。みんなに毎日があるけど、みんな普通の人やで。優しさって想像力やと思うねん。あの人にも親がいるんやろうな、とか。あの人も飼ってる犬が死んだら悲しむんやろうな、とか。もしかしたら不愉快な思いをして帰る人が、ひとりくらいはいるのかもしれん。だけど、そうならないようにしたい」
「優しさは想像力。相手になり切る。ありがとうを伝える時も、好きを伝える時も。照れんな、勇気を出して言葉を伝えろよ」
10-FEETが歌い叫んできたのはいつだって、自分を疑ったり、卑屈になったり、そんな弱さの向こう側に突き抜けるための歌だ。そうしてそれぞれが自分に胸を張って強く生きていければ、人を受け入れて優しさを分け合えるはずだという願いだ。その歌と音と叫びに鼓舞された人が声と拳を上げて真っ新な姿で体ごとぶつかっていくのが10-FEETのライヴである。感情のブレーキをぶっ壊し解放する暴動のような光景が広がった“1sec.”はまさにその象徴。“ヒトリセカイ”、“その向こうへ”まで、ただただ10-FEETとして今語り掛けたいこと・伝えたいことを真摯に手渡し続けるライブだった。

「行け! 迷ったら進め!」と最後に叫んだTAKUMAだったが、音楽性もライブスタイルも異なる2バンドに共通する姿勢が、そこにすべて言い表されていたと思う。振り払いたいものがあるから、ただただ前だけを見て突進していく。鬱屈があるから、ハッピーを求め続ける。そんなロックの「ひっくり返す夢」を改めて示す一夜だった。

なお、この日のライブの模様は年明け1月11日22時よりスペースシャワーTVで放送される予定。ぜひ、チェックを。

Text:矢島大地
Photo:西槇太一

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