メニューを開く

up!!!

「お約束」を破ったほうがいいんじゃないかなって、ここ数年は思っています。(田中和将)


──今日はっとりさんはオアシスのTシャツを着てますが、イギリスの音楽も結構聴いているんですか。


はっとり:オアシスは好きですね。僕はどちらかというとアメリカとか、明るい音楽が好きで。やっぱりメロディがキャッチーなものがいいんですよね。だからオアシス然り、日本人の琴線に触れるような歌メロっていうものがあるロックの曲が好きなので。ウィーザーとかアッシュとか、わかりやすくポップなバンドが好きなんです。


田中:わかります。


──GRAPEVINEも匂いとしては、UKロックの香りなどもありそうですかどうですか。


田中:いろんなものを聴くので、あまりそこにこだわりはないですね。良さっていうのはそれぞれのものの気がしているので、暗いものも明るいものも好きなんですけど。僕がマカロニえんぴつから感じたのは、多分その感じだと思うんですね。ちょっとカラッとしたものというか。


──田中さんはいろんな音楽を聴くなかで、何かご自分のツボはあるんですか。


田中:僕はものすごい雑食なタイプですね。イケてるものが好きです(笑)。頭でっかちになりすぎないバランスといいますか、ちゃんとロッケンロールである、でもつまらなくなくて、味があるというか。そういういいバランスみたいなものに、自分的なツボがあると思いますね。



──曲を聴くときに、ついここを聴いてしまうっていうのもあるんですか。


田中:「ペラ」くないかどうか、ですかね。印象が。その人、その人たちの持ってるポテンシャルの豊かさが見えるものが好きなんですよね。これ聴いて昨日はじめましたみたいな感じがすると、ダメなんですよね。


はっとり:なんでこの曲がかっこいいのかってすごく説明のしづらいことで、ロックだからとかさっきもあったようないけてるからっていう言葉でまとめるしかないというか。すごく直感的なものなんですよね。


田中:うん。


はっとり:とくに海外のバンドは、言葉がわからない分、メロディのラインとアレンジとか、佇まいとかで感動する。GRAPEVINEはそういうふうに、洋楽っぽい佇まいも持ちつつも、僕は歌詞も大好きなので。すごくいいバランスというか。僕らもいろんなことをやるんですけど、とっちらからないギリギリのバランスでアレンジも整ってるし、歌詞の言い回しも言い過ぎない、でもぼんやりさせすぎない絶妙なラインで歌詞を書いている、そういうバランスがいいロックバンドがかっこいいなと思うんです。まさにGRAPEVINEはそうだし、俺はそういうロックバンドでいたいなっていう思いで。



──GRAPEVINEはバンドとしては20数年やってきて阿吽の呼吸もあると思いますが、何か作品作りをする上で守っていることはありますか。


田中:むしろ「お約束」を破ったほうがいいんじゃないかなって、ここ数年は思っていますね。最初の5年とか10年の間に、わりとスタイルは確立されてしまうじゃないですか。自分たちってこういう感じなんだなっていうことが、自分でもわかるというか。得意なことがわかれば、不得意なこと、やりたいけどできないこと、やりたくもないのにやってしまうこと、いろんなことがあって。そういう身の丈がわかってきて。それ以上続けていこうと思うと、そうじゃないアプローチみたいなものがあってくれたほうが刺激になるし、転がれるのかなという感じがしますね。


──踏み出していくことの怖さはもうない感じですか。


田中:それは別にないですね。もしかしたらちょうどいい位置にいるのかもしれないですね。もっと有名人で、もっとリスナーに楽曲が期待されていたとしたら、こうはなれてないかもしれないですしね。


──はっとりさんは、こういう対談という機会だからこそ田中さんに聞きたいこと、GRAPEVINEについて知りたいことはありますか。


はっとり:今言っていた、やりたくもないのにやってしまったことっていうのもGRAPEVINEにはあったんですか。過去の作品作りのなかでの後悔とかも混じってるのかなってうのは気になります。


田中:それが後悔っていうほどでのものでもないんですよね。自分の好みには合わなかったかもしれないけど、それはそれで側面として、幅としていいんじゃないかなという気持ちなんですよね。あんなことやりたくなかったなという後悔ではないんです。そういうのは、今でもあるんですよ。ちょっと自分内忖度をしてしまうんですよね。こんな立ち位置でありながら、例えば、この曲をリード曲として出しますよってなると、ちょっとだけここをわかりやすくしておこうかなとか(笑)。そういう感じは今でもやってしまうので。


──最終的にその忖度をしない選択もあるんですか。


田中:リード曲じゃない曲だったら自由にやってるのかもしれないですけどね。いや、そうでもないかな? 曲に合わせて、この曲はこういうムードやから、こっちに寄せておいたほうがいいかなとかはありますね。というのは、たくさん曲を作ってますからね。たくさん作ってるうちのひとつがそうでもいいんじゃないかくらいの気持ちなんですよ。


はっとり:僕らはまだ7年目で、「この1曲にかけよう」っていう思いがどうしても強いんです。たくさんあるんだから、そのひとつで好きなことをやろうっていうフェーズに……最近になってやっと意識ができるようにはなりましたけど。そうは言ってもバランスを気にしてしまうというか(笑)。すごくオタクなことをする前に、キャッチーさが残らないとなっていうところで、作品としてバランスのいいものを作ろうってなるんです。僕はそれを自分で、それがマカロニえんぴつの今のところのいいところじゃないかなって思ってもいて。


田中:うんうん。


はっとり:もうひとつ田中さんに伺いたいのは、例えば「豚の皿」とかむちゃくちゃ自由にやっている曲があるかと思うと、「風待ち」とかも僕はすごく好きで。言ってしまえばちがうバンドがやっているような、相反する曲を作れる。変な言い方ですが、そのふたつを作っているときのどちらが、自分らしいなって思って作っているんですか。


田中:僕の個人的な好みとしてはいけてるものが好きなので。例えば「風待ち」や「豚の皿」と比べるのはおこがましいですけど、例えばジェームス・テイラーみたいなものも好きですし、キング・クリムゾンみたいなものも好きなんですよ。どちらも、ぼくらの中のバリエーションにいていいと思っているというかね。どちらもやりたいというか。やっぱり幅が広いものを目指していると思いますし、実際にいろんなものが好きなんだと思うんですよね。


はっとり:ああ、なるほど。


田中:だからあれもやりたい、これもやりたいみたいなところだと思いますね。

次のページ ≫

幸せな瞬間って訪れるんだなっていうことを噛み締めながら、とはいえ負けないぜっていう気持ちでは挑もうと思っています。(はっとり)
メニュー閉じる